入れ歯 Q&A|入れ歯・噛み合わせ専門の富山県黒部の岩井歯科クリニック。

岩井歯科クリニック
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院長インタビュー

入れ歯 Q&A

q 「入れ歯」を作ると味覚を失ってしまうのでは?
A 味覚は、主に舌の味雷(みらい)(舌背の粘膜に存在する味細胞の集合)が感覚を司っています。
「入れ歯」を入れることにより味覚を失ってしまうことはありません。ただし、口の中に「入れ歯」というそれなりの物体を入れるわけですから、初めて使用される方は、異物感や違和感はあると思います。
このような違和感は、食事がうまくできるようになるのと平行して無くなってきます。逆にいつまでも違和感があるようなら、「入れ歯」の調整に問題があるものと推察します。
よく咬める「入れ歯」で咀嚼することは、いままで咬むことのできなかった食品がすり潰され、それによってまた新しい感覚や香り、食感を楽しむことができるのです。
よく咬める「入れ歯」は新しい味覚を増やす可能性があり、味覚を失うことは無いと考えます。
q 「入れ歯」はしょせん痛いもの…という諦めの気持ちがあります
A 新しく「入れ歯」を作製した場合においても、次回の来院で「入れ歯が痛い」と訴えられる患者さんは確かにいらっしゃいます。「入れ歯」による痛みは、調整をすることにより十分に改善されます。しかし、時々痛みの改善が遅れる場合もあります。
その原因を取り除きながら調整することで、来院の回数が増えることもありますが、痛みをとることは可能です。
当院では、1回の調整に充分な時間をとり、時には1日1人の予約で治療をします。遠方からお越しの患者さんに、何度もご来院いただかなくて済むように配慮しております。
q 自分の歯を全て失ってしまうという不安があります
A 歯はとても大切な臓器です。簡単に歯を抜いて「総入れ歯」にするわけにはいきません。
歯周病になった歯でグラグラと動揺もみられる場合、抜歯する症例もあります。しかし、このような歯でも「咬み合わせ」で大切な役割を担っていると判断すれば、あえて歯を抜かず保存することもあります。
逆に「入れ歯」を作る際、どうしても残存する歯が障害になる場合(歯が極端に倒れている、「咬み合わせ」に障害になっている、等)もあります。このような場合は、患者さんと相談の上、抜歯させていただいております。
当院は、どんなに歯の状態が悪くても、患者さんが「歯を抜きたくない」と言われれば、基本的に歯を抜かないよう心がけています。ただし、歯科医師が抜歯を勧めながら、歯を保存するとなると、今後の治療上のリスクも十分に説明し、理解をしていただくことになります。要するに、歯を抜くか否かは、患者さんの十分な理解と同意なしでは行えないのです。
q 保険診療で作る「入れ歯」では、なぜ駄目なのですか?
A 保険診療では一人に当てられる診療時間が限られております。
「入れ歯」作製の患者さんにだけ、集中して多くの時間を割ければよいのですが、なかなかそういうわけにはいきません。虫歯や歯周病の治療、その他急性症状で飛び込んで来院される患者さんまで、一人の歯科医師でこなさなければならないことはたくさんあります。まして歯の治療は一筋縄ではいかず、簡単なことではありません。それぞれの患者さんに丁寧な治療を施したいとなれば、均等に時間を分配するしかないのです。ある特定の患者さんにだけ何時間もというわけにはいかないのが、保険診療なのです。
医療者としては、「質の高い治療を行い、患者さんからの厚い信頼を得たい」という思いが常にあります。一方、歯科医院を運営する経営者としては採算性も考えなければならない、つまり質よりも量を優先させるという矛盾した考えが同居しているのです。
もし、医科と歯科に大きな違いを挙げるとするならば、医科の場合はある程度分業ができる点だと思います。医師は基本的に診断に関わる部分が多く、検査においては役割分担がはっきりしています。また、一人の患者さんに掛ける処置の時間が歯科治療より少ないことから、多くの患者さんを診ることが可能になるでしょう。
歯科の場合、特に「総入れ歯」など大きな「入れ歯」は、一つ一つの作製工程を丁寧かつ時間を掛けて行わないと、最終的には悲惨な「入れ歯」が仕上がってきます。積み木を正しく積まないと、最後に崩れ落ちるのと同じです。
長年の診療の中で、「入れ歯を入れると痛いので診てください」という患者さんに、私もよく遭遇します。丁寧に作られた「入れ歯」であれば、その痛みの原因を見つけることは比較的容易です。しかし、作製のいろいろな工程で複数に及ぶミスがある場合、非常に調整が難しくなることが多いと思います。
また、保険診療では「入れ歯」が歯茎に強く当たる部分に適合性試験を行い、当たっている「入れ歯」の内面を削合することが多いのですが、問題が多いと、なかなかそれだけでは解決できなくなってくるのです。
このように「入れ歯」は痛みの原因をしっかりと把握しなければ、何回調整を繰り返しても「入れ歯」の痛みから解放されないことになります。保険診療で作られる「入れ歯」は問題が生じやすい下地があるため、満足できない患者さんが相変わらず居られるのだろうと思います。
q 新しく作った「入れ歯」があわなかったら…という不安があります
A 「入れ歯」の作製は作業工程が多く、各工程で患者さんに意見を聞くようにしています。例えば人工の歯を並べた後、完成前の「入れ歯」を患者さんの口の中に入れ、その感想を聞きます。この際、不都合な部分や患者さんの要望に応じて、修正をさせていただきます。その他、「入れ歯」完成後の不具合は大なり小なり必ず生じてきますので、しっかりと調整することで解決させていただいております。
ただ、ひとつ申し添えたいことがあります。患者さんの中には、あまり自分の意見を言われない方が居られます。「咬むと時々痛いのだが、そのうち慣れてくれば治るだろう」とか「我慢すれば良いのではないか」など思いながら、治療に来られると口ごもられ、素直に不都合な部分を言ってもらえない時があるのです。
十分にお話をしていただけない患者さんに対しては、性格も考慮し、不都合な要因を推察し治療をしなければならないこともあります。歯科医師サイドとしては、些細なことまで患者さんの気になっていることをお話していただければ、治療もはかどるのです。
患者さん側の「入れ歯」を作りたいというモチベーションに、あまりにも大きな不安や悲壮感がある場合は、ドクターとの信頼関係を築くには時間がかかると思います。何よりも患者さんと歯科医師の信頼関係が大切であり、その上でどんなことでも言ってもらえる関係が作られれば、「入れ歯」への不安が減るのではないかと思います。
q 「入れ歯」が合わないと思っても、いずれは慣れてきますか?
A 「被せ物」や「入れ歯」を入れた際、「最初はちょっと変な感じがしたようですが、2・3日すると慣れてきたので、今は大丈夫です。」と言われることがあります。これははっきり言って大丈夫ではありません。「ちょっと変な感じ」と言う点が問題なのです。
これは、「咬み合わせにまだ問題があります」と受け止めるべきなのです。
「咬み合わせ」に問題がある場合、それぞれの患者さんによって受け止め方が違います。「食事がしにくいです」と言われる方もあれば、「そのうち慣れるだろう」と思われる人もいます。前者の方はその症状に対して、すぐに対処できますが、後者の方は今までも同じような経験を積んできたため、場合によっては来院されないこともあります。
「慣れてくる」ということは、「咬み合わせ」がずれてしまった状態で体が順応してしまうことであって、決して良いことではありません。
少しでも「咬み合わせ」に違和感があれば、ドクターに報告していただくことが大切です。
q 「入れ歯」に寿命はありますか?どれくらい持つものなのでしょうか?
A 「入れ歯」にも寿命があると思います。ただ、生活環境や体調の変化などが要因になっていますので、「何年で寿命です」ということは一概に言えないと思います。
当院では現在、保険診療を行っていませんので、当然保険外の「入れ歯」を提供することになります。「より良いものを、できる限り長く持たせる」ことを目標にしていますから、あまり寿命という言葉は使いたくないのです。
メンテナンスなどで「入れ歯」を調整し、時には修理する場合もあります。長く患者さんとお付き合いさせていただくことで、「入れ歯」を長持ちさせるように努力しています。
ただ、実際には様々な状況下で作り換えを余儀なくされる場合も稀にあります。「入れ歯」の素材や材料も少しずつ変化しております。「入れ歯」作りの新しい考え方も今後、出てくると思われます。新しいものが良いとは決して思いませんが、取り入れるべきものがあり、治療に役立つのであれば、今後「入れ歯」の治療も変わってくる可能性もあります。
車でも何年か経ってフルモデルチェンジやマイナーチェンジをして、より良いものを世に出しているように、「入れ歯」も変わっておかしくないと思います。
当院では「入れ歯」を最低10年以上、できれば20年は使い続けていただけるよう患者さんと二人三脚で努力しております。
q カウンセリングにはどれくらい時間をかけますか。どのような話をしますか?
A 初めて受診される患者さんの場合、問診(現在のお困りの症状、経過、病歴などを尋ねる)、必要最低限の検査(口腔内診査、レントゲン検査、簡単な型とり等)、治療相談等を行います。初診の方は基本的に約4時間の時間設定をし、余裕を持たせています。
カウンセリングの内容に関しては、できる限り患者さんが今まで悩まれてきたことを話してもらうことを中心に行っています。お話いただいた内容から、問題点を探り、今後の治療の提案をさせていただいております。
また、遠方から初めてお越しの患者さんには、今使用されている「入れ歯」の不具合を治療させていただくこともあります。前述の設定時間では十分に治療することができないことが多いので、できれば1日(約6時間)かけてご予約されることをお勧めしています。希望があれば、2日連日で予約をしていただき、治療することも可能です。
全ての時間をその患者さん一人のみに当てますので,他の患者さんがお見えになることは基本的にありません。
q 「インプラント」にしようか、「入れ歯」にしようか迷っています
A 「インプラント」は「入れ歯」に代わる新しい治療法として以前から注目されております。「インプラント」の一番のメリットは、「入れ歯」のように出し入れする必要は無く、固定性の「被せ物」を入れることで、歯が存在していた頃の感じを蘇らせてくれるものとして普及してきました。「入れ歯」のような煩わしさや装着感の悪さは「インプラント」にはあまり無いと思います。
しかしながら、「インプラント」治療には、「入れ歯」には無い、危険要素を多く持ち合わせていると思います。
以下にいくつか列挙しています。
1)「インプラント」の構造は天然の歯とは全く違ったもの
歯のレントゲン写真などでご覧になったこともあるかと思いますが、天然の歯はもともと顎の骨と直に接しておりません。
「歯根膜」という無数の繊維性結合組織が、歯と骨の間に介在し、強く咬んだ時にも歯の衝撃を、顎の骨に直接伝わらないようにしています。
「インプラント」にはこの「歯根膜」という緩衝機能が備わっておらず、直接「インプラント」と骨が癒着しています。つまり「インプラント」は構造的なハンディーキャップを背負わされていることになります。

2)「インプラント」は外科処置の治療であり、元の状態に戻すことは不可能
「インプラント」は必ず外科処置をしなければいけない治療です。外科手術は一旦行われると、元の状態に戻すことは不可能なのです。いわゆる不可逆的な治療といえます。
「インプラント」を入れた後、都合が悪いからといって「インプラント」を外したとしても、削られた骨は元の状態に回復することは無いのです。また、「インプラント」を外す際に一部の骨も「インプラント」に付いて除去される可能性が高いのです。そもそも外科手術であるからには100%成功することは無いと考えるべきでしょう。まして、ご高齢の方は「インプラント」の本数が多くなればなるほど、成功率はさらに下がってもおかしくないと思われます。また、術者の技術レベルの差が、成功するか否かに大きく関わってきます。
近年、「インプラント」にまつわるトラブルや訴訟問題が増えていることから、「インプラント」で信頼できる先生を、患者さんがどのように見極めるべきか、難しい問題だろうと思います。


3)「咬み合わせ」の問題に留意
「インプラント」であれ、「入れ歯」であれ、最終的に問題となってくる点は「咬み合わせ」だと思います。「インプラント」には構造的に天然歯の「歯根膜」に代わるものが無いのです。
「インプラント」上部の被せ物は、特に「咬み合わせ」に注意したものを作らなければ「インプラント」のみならず、その他の周囲の組織(骨、神経、血管、歯茎など)や残存する歯の崩壊を招く恐れがあります。

4)メンテナンスの難しさ
最近は上部構造を完全に固定せず、着脱可能(ドクターサイドで)の物も有るようですが、基本的には上部構造は「インプラント」と固定されてしまいます。「咬み合わせ」は時間の変化と共に変わってくる場合があります。また、患者さんの姿勢も変化してきます。「咬み合わせ」の変化に対し、どのようにメンテナンスを施すのか?
「インプラント」周囲のブラッシングを徹底するだけで、メンテナンスをすることが可能なのか、疑問に思われます。
以上、いくつか危険要素を列挙しましたが、けっして「インプラント」が良くないといっているわけではありません。患者さんの年齢や体力のこともありますし、それぞれの歯科医の考え方も違っています。
最終的に、喪失した歯の部位に対して何をもって補うかは、治療法の説明を受けた歯科医師との信頼関係が基本的にあって、患者さん自身が決めなければならないのです。
q 入れ歯安定剤を使用する場合はありますか?
A 基本的に当院で作製された「入れ歯」で、入れ歯安定剤を使用していただくことはありません。がたつきもなくぴったりとした「入れ歯」は吸着性も良く、使用する必要性を感じないと思います。もし、入れ歯安定剤を使われている方がいるとすれば、メンテナンスに応じず、何年も来院されていない場合が考えられます。
「入れ歯」を入れた後は、経年的に歯茎の土手が少しずつ変化していきます。このため、当院では定期的にメンテナンスに応じていただき、「入れ歯」の内面の適合性を良くしています。その調整時期は、各患者さんにより異なっています。一般には半年に1回行いますが、患者さんによっては1年に1回の場合もあれば、3カ月に1回の時もあります。
そもそもこの入れ歯安定剤は、合わない「入れ歯」でお悩みの方のために市販されたものです。入れ歯のがたつきや落下防止、はては痛みの緩衝材として、患者さんが自発的に行っているものであり、歯科医院で推奨しているわけではありません。
また、患者さん自身が入れ歯の内面に盛った安定剤の量にムラがあり、結果的に「咬み合わせ」を変えてしまうことが、よく見受けられます。やはり入れ歯の調整・定期的な管理は歯科医院で行うべきであろうと思います。
q 「入れ歯」で人相は変わりますか?
A 「咬み合わせ」の高さは、顔の長さに影響を及ぼします。また「入れ歯」の外側の厚みは、口元の張りに関わってきます。
歯が全く無い(無歯顎)人の顔は、特に鼻から下が潰れた顔貌(がんぼう)を呈してきます。我々歯科医は職業的に人と会うと、相手の口元を見る癖が付いています。テレビに出ている芸能人などを見ると、「こちら側の歯が無くなったのかな?」などと、いつも思ってしまいます。
ですから、当然「入れ歯」によっても、顔貌が変わると思ってください。このため「顔貌の回復」も入れ歯作りにとって、大変重要な目的要素になっているのです。
人の顎は歯が抜けてしまった後、経年的に顎の土手は減り続けます。
若くして歯を多数失われ、合わない「入れ歯」を長期間装着なさっていた方ほど顎が痩せてしまい、それに合わせて「入れ歯」を作ると、小さなこぢんまりとした「入れ歯」になってしまいます。往々にして、口元も奥に引っ込んでしまったような老人様の顔貌になりがちです。また、こぢんまりとした「入れ歯」は舌の置き場所が狭くなり、舌にとっても窮屈な状態になります。場合によっては舌を咬んで、発音の障害になることも予想されます。
顔貌の回復には、「入れ歯」の厚みや、人工の歯の排列に工夫が不可欠です。
その他、人工の歯で特に前歯の大きさや形、色も顔の一部になりますから、その選択にも気を遣うところです。様々な種類の人工の歯から、患者さんに合う歯を選んで作製しております。

顔貌の変化
q アフターケアはどのようなことを実践していますか?
A アフターケアとして、主に3ヶ月または6ヶ月ごとの定期健診により、「入れ歯」のメンテナンスをさせていただいております。
メンテナンスの内容としては、
1)「入れ歯」の不具合を患者さんから伺う
2)「入れ歯」の破損の有無
3)「入れ歯」の適合性の有無
4)「咬み合わせ」上の問題の有無
以上の点を中心に、「入れ歯」の調整、修理を行っております。
「入れ歯」は毎日使用するものです。硬いものを食べた際に、人工の歯が部分的に欠ける場合もあります。また「入れ歯」を不意に落とした瞬間、患者さんが気づかないうちに「入れ歯」に亀裂が入ることもあります。患者さん自身は「入れ歯」の使用に何も支障はないと感じておられたとしても、専門的に見て問題が生じていることが多々あります。
やはり「入れ歯」を長く使っていただくためには、最低半年に1回の定期健診をお勧めしております。

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